中古ショップのスゴいヤツ

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ブックオフが好きです。ハードオフも好きです。というか、中古品販売の店が全体的に好きです。新品のものがほぼ無い自然体の空間には異常なほどの安心感があります。

中でも2000年代以前のゲームソフトや本が好きで、数年前に出たであろうゲームや本の中からマイナーな初代PSのソフトややけに色がくすんでいる背表紙の本を見つける速度や精度はブックオフに行くたび磨かれているような気すらします。

この記事ではブックオフやその他古書店・古本市で見つけたいい感じなモノを紹介していきます。ちょっと長くなるかも。

 

 

 

 

 

■ジャンクレコード・VHS

 

 ◇レッスンから競技まで 今宵踊らんレッツ・ダンス(年代不明)

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タイトルで即買いしました。『今宵踊らん』だけでも十分すぎるぐらい格好いいのにその後にすぐ『レッツ・ダンス』をつなげてくる力強さ。感動しか無いです。

ジャケット裏の解説曰く、『今宵踊らん』はダンス音楽アルバムのシリーズ名。今回はレッツ・ダンス篇で、日本における基本のダンスのあらゆるシーンで役立つ目的で作られたレコードらしいです。

このカタカナ語を中黒で区切る表記、めちゃくちゃ好きなんですよね。『オン・ザ・ロック』『サン・ランプ』みたいな。ちょっとした間を置くだけで名詞が一気にトレンディーになっちゃうんですよ。不思議。

 

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レコードとは関係無いおそらく80年代の雑誌の広告欄。カタカナの多さが魅力的

 

 

 ◇ベンジー オリジナル・サウンドトラック(1974)

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自分が生まれた時は既にレコードが廃れていたので、懐かしむことすらできません。でもなぜか欲しくなっちゃうのは、古いものが好きなのと、過去の情報がジャケットの触り心地・デザイン・音(聴ける聴けないかは問わず)・フォント・紙のスレや汚れなどあらゆる場所にそのまま保存されているからだと思います。その時代を手元に残しておきたいみたいな感覚です。これはレコードに限らず古本もそうかもしれません。

そんな状態でどうやって買うレコードを選んでいるかというと、やっぱりジャケットです。再生はできないので、視覚情報が唯一の頼りとなります。

これもジャケ買いでした。かわいいワンちゃんですね。今飼っている犬によく似ています。

このレコードは1974年に公開されたアメリカの映画『ベンジー』のサントラのようです。当時は結構有名な映画だったらしく、私の父(50代)に見せたところ、すぐ「知っている」と反応が帰ってきました。

2018年にネトフリでリメイクが配信されているみたいです。そろそろ加入したほうがいいのかな。

 

ちなみにこのレコード、ケースの中にたくさんのスクラップ紙が挟まっていました。そのどれもがベンジーに関するものだったので、元の所有者は相当なベンジーファンだったのでしょう。おそらく本物の新聞記事(ニューヨークタイムズ!)やチラシなので、大切に保管しようと思います。

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スター犬だったのかな

 

 

 

 ◇Alphabet City/ABC(1987)

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 素晴らしい……なんて美しいジャケットでしょうか。人物の配置・全体的な配色・フォントのチョイス、見た瞬間全てが心に刺さり、気付くとこれを抱きしめながらジャンクレコードの棚を漁っていました。青いケースの最前にあったので、この出会いはもはや運命かと思うぐらいです。

以下wikipediaより一部引用。

ABC(エービーシー)はイギリスのバンド。1980年代に一世を風靡したニューロマンティック・バンドのひとつ。

1980年代前半、イギリスのニューロマンティック系アーティストがMTVによるビジュアル効果を利用してアメリカのヒットチャートを席巻し、「第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン」と呼ばれる一大ムーブメントを巻き起こした。ABCもその例に漏れず、ダンディかつきらびやかなジゴロ的イメージ戦略でブームに乗り、1982年に英米で「The Look Of Love(ルック・オブ・ラブ)」のヒットを放った。この曲は日本でもディスコで連日流されるほどの大ヒットとなる。

 

引用元:「ABC (バンド)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2020年4月2日 (木) 05:38 UTC、URL:ABC (バンド) - Wikipedia

何ということでしょう。ロマンティックダンディディスコという私の大好きな単語が立て続けに出てきたではありませんか。

ここまで来たらもっと知るしか無いということでABCの曲をいくつか聴いてみたんですが、ものすごくシティ的にセクシーでした。こういう雰囲気、大好きです。

 

 

◇リビング・ステレオ ロバート・ラッセル・ベネット(1958)

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この盤に関する情報が調べても全然無かったんですが、リビング・ステレオシリーズはステレオ録音が実用化されてからわりとすぐに出たレコードのようです。当時の画期的技術だったらしく、これの他にもたくさんのバージョンがあったみたいです。

 

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ちなみに今回はジャンクレコードを年代を定めずに複数枚買ったんですが、これが最古のものだったのか一番いい匂いがします。例えるなら『祖父母の家の箪笥の奥みたいな匂い』でしょうか。カビ臭いホコリ臭いあの感じが一番濃いです。しばらく触っていると手にその匂いが移ります。

ハードオフ店内でもその存在感は強く、何回かジャケットを直に嗅ぎかけました。不審に思われたくないのでやめました。

そして極めつけがジャケットの裏面です。

 

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全体的にカビています。インクか何かのシミや汚れかもしれませんが判別がつかないのでカビということにしておきましょう。その方がロマンがあるので……

購入を決意したのはこの面を見た時でした。こんなにちょうどいい状態のものが2021年ハードオフ実店舗で手に入るのか!ととても感動しました。フチも傷んでいるので、時々紙クズがポロポロと落ちてきます。会計をしてる時にレジに小さな物体が落ちてたんですが、多分これのせいです。

  

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 気になるのが右上のこのシール。よく見ると何か書いてあったようなんですが、すっかり滲んでいて判読もできません。辛うじて3、4つの数字が書いてあるということは判りました。元々何のために貼られていたものなのかを想像するのも面白いですね。

 

 

 ◇Memories Of Movieland(1956?~)

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最高のジャケットです。直球でいて上品。こうありたい。

映画の音楽アルバムということはわかるのですが、残念ながらインターネット上に情報が全く残っていないレコードです。映画のラインナップからすると、少なくとも1956年以降にリリースされたものだと考えられます。同じタイトルでヴァリアス・アーティスト版があるみたいです。こっちはインスト版かな?右上のHI-FIが良いですね。

 

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 エデンの東禁じられた遊びなど世代ではなくても聞いたことのあるタイトルがちらほらあります。このスチール写真もタイトルの語感も本当にかっこいい。渋い男はいつの時代でも輝きますね。

50年代ということはさっきのリビング・ステレオと双璧をなす存在なのでは……と改めて嗅いでみたんですが、確かにこれもそこそこ濃かったです。

 

 

◇Work It Out(Remix)/Unity(1993)

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かっこよすぎますね。外はアナログ質で中身は近代的。こういうデザインを見ると不思議と90年代を想起します。と思ってたら、本当に90年代の作品でした。

実際に(ネットで調べて)聴いてみたんですが、「わかるな~~~!!!」という感じでした。まさしくコレでございます。1990~2000年代初頭って”こう”だったなあ!と、私の中の僅かな記憶でさえも共感してしまうほどのビジュアルと時代と音の一致。レコードという媒体が意味する『昔』と耳に馴染んだハウスの形式から感じた『現代』が交差している一瞬を切り取ったような気持ちです。

 

 

◇詩人の恋 作品48/シューマン(アントン・デルモータ[テナー]、ヒルダ・デルモータ[ピアノ])

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 『詩人の恋』、良いタイトルですよね。前半も後半もロマンチックだ。実際に聴くとやっぱりロマンチックだ。どこから聴いてもこれ完全に『恋』だ。レコードの音で聴いてみたいな。

ジャケット裏の解説によると、この歌曲集はシューマンの妻クララへの激しい愛情から生まれたものだそう。ある一人へ向けた愛の言葉が世界規模で有名になって後世に語り歌い奏で継がれるわけですから、著名な作曲家たちはやっぱり自分の存在が大きな歴史の一部みたいな気持ちだったんでしょうかね。

 

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それぞれの小曲の歌詞の一部も書かれています。ゝを使っているのが良い。この文に強く惹かれて買っちゃいました。やっぱりロマンティック。全てはロマン。

私自身が大人の男女の恋や愛を傍観者側で楽しむ作品が好きなせいもあると思いますが、こういった生身の人間が愛する人に宛てた心の底からそのまま出てきた言葉にはただならぬ魅力を感じますね。

 

 

 

◇愛されちゃって、マフィア(1989)

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今回行ったハードオフは珍しくVHSが充実していたので、その中から選んだ一本です。知らない作品のほうが多いので、例によってジャケット買いです。

この作品、何よりもタイトルに惹かれてしまいました。『愛されちゃって』の可愛らしさと『マフィア』という硬派な世界を合体させるという言葉の甘辛コーデ。なんてチャーミングなのだろう。

日本では劇場公開されておらず、中古のDVDはそれなりに高価みたいです。配信もされていないからそこそこマイナーな映画なのでしょう。

 

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この写真!たまりませんね。明るい映画ですとパッケージの全身で表しています。かわいいね。当時は15,300円で売られていたんですね。今じゃ考えられないです。

ケース裏面の左下あたりには、よく見ると分かるんですがセロテープの跡があります。そのまま側面を通って表面にまで回っているので、開いて中が飛び出さないようにしていたんでしょうか。それにしては開閉がしっかりできるのですが……。

 

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カセットの背中はいい感じに汚いです。この汚れってどういう原理でつくんでしょうね。

ここでビデオデッキに入れる時のシミュレーションをしてみたんですが、全くわかりませんでした。もしくはド忘れしたんだと思います。

何せ私がVHSをギリギリ観ていたのは5歳ぐらいまでの数年間、約2004年以前の幼少期です。ビデオデッキは親が操作していたし、常日頃何も考えずに過ごしていたのですから覚えているはずがありません。確か観ていたのはバグズ・ライフとピングーでした。

バキってなったら怖いので、下手に触らないようにします。そして、次レンタルショップに行ったらこの映画も探すことにしましょう。

 

 

■書籍

 

◇U.S.Camera 1957(1956?)

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アメリカの写真誌シリーズの57年版。年単位で刊行されていたらしく、ネット上でもいくつか情報が見られます。

これは2015年頃に新橋のSL広場で行われていた古本市で購入したものです。その時から既にカバーはこの状態でした。amazonだと『中古商品-良い』に入るんでしょうか。

 

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当時の風俗を思わせる写真が数多く収録されています。他にもリアルな事故現場からかわいいふくろうまで被写体は様々なので、見ていて楽しい本です。もちろんこれもいい匂いがします。
 

 

◇ Screen Romances(年代不明/写真は1930,40,47年)

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可愛い~。素晴らしい表紙ですね。でもそれだけじゃないんですよ。

 

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うわ~~~~ん!!

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あああああ~~~最高~~~~~~~~!!!!

これですよこれ、この雑誌に自分が欲しかったもの全部詰まってます。これを買った古書店さんには他にも数冊バックナンバーがあったのですが、自分が選んだものは全部男女カップルが表紙を飾っている号です。

中身とタイトルからすると、ロマンス映画を専門とする雑誌なのでしょう。ターゲットは大人の女性だったのか、広告欄は化粧品やスキンケア用品が殆どです。しかも本文のデザインのみならずその広告の魅せ方にも力が入っているものですから、英語が全然わからなくても十分楽しめます。

 

特筆すべき事として、1947年3月号の表紙に捺してあるこの文字があります。

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THE BLUE MIRROR、何の名前なんでしょうか。私はカフェかヘアサロンの名前だと思っています。

 

 

 

■おわり

古書やその他の古いモノを買う時に、時々『本当に私がこれを所有して良いのか』と思うときがあります。この記事↓にもあるように、中古品は商品でありコレクションでもあるので。

www.e-aidem.com

 

店員じゃないけどこれは他の人にも見てほしいなとか、最早店の一部になってるよなあみたいなことを考えると同時に、自分の手元に置きたい、好きなときに一人でじっくり鑑賞したいという気持ちもあるんですよね。それがどちらに振れるかは財布の事情やその時感じたときめきによるのですが、その悩みを越えてまでモノを手にした場合は、コレクションや資料として価値のあるものを所有しているという意識を失いたくないなあと思います。

次は神保町へ行こう。あとレコードプレーヤーも買おう。